飲食業フリーランスの収入・業務内容・契約条件・リスク回避まで解説

飲食店業務受託「フリーランス業」の収入の目安・業務内容と範囲・メリット・デメリット・労働の契約条件・トラブル回避まで解説します。

◆飲食店業務の得意な分野で自由な契約で働けます

業務委任や請負の受託はアルバイトや社員、派遣などの雇用形態とは異なりますので、就業規則などの拘束は受けることはありません。そのため、受託者はフリーランスなどの事業主が対象となります。

【業務受託(フリーランス)側のメリット、報酬・委託料の一例】

①委任契約を時間委託料に換算

委任契約を時間委託に換算した場合

委託報酬:業務委託は労働契約ではないため、時間給のようにはできません。ここでは委託の報酬をわかりやすく、時間に算定した場合の例となります。
業務委託内容により時間換算にした場合、業務内容や委託者と受託者の契約によっては1,000円程度から10,000円を超えるようなケースも想定されます。(業務委託は労働契約ではないため、最低賃金法には該当しない)

※業務委託の契約は時間給や月給制ではありません。そのため、「開店準備」や「ランチ運営」「店舗運営」「仕込み」などの委託内容になり、契約内容も委託者と受託者の取り決めとなります。

業務委託者・店舗経営者のメリット・報酬はこちらをご覧ください。

②委任契約を月間委託料に換算

委任契約を月間委託料に換算した場合

基本的な業務委託委任料となりますが、業務内容により、双方の話し合いで取り決めとなります。
例としては、月間委託料が300,000〜600,000円程度のケースや、取り決めの月間委託料にインセンティブが加算されるような契約もあります。中にはインセンティブのみのような契約もあります。

 法的労働に当てはまりませんので、本人の判断で業務をしたとしても割増や休日手当などはありません。また、フリーランスは事業主(経営者)ですので、年金・健康保険などや所得税・住民税納付や確定申告、または決算も行います。なお、雇用保険・労災は未加入となります。

※雇用とは違いますので、委託者からの指示や管理はなく、働く時間帯や日数はシフトなどで管理されることもありません。ただし、受託者は経営向上に資する立場で業務を行う義務を負います。

※上記は例としての業務委託委任となりますが、委託料は双方の話し合いにより取り決めとなります。

③完成条件付請負契約

・制作物の完成、納品、または請負業務の完了による委託料

チラシ・メニューブック・販促チケット・ポスター・名刺制作・ホームページ制作および運営・イベント企画、運営および司会・新メニュー開発からレシピ提供・オペレーション研修・新店舗オープン業務・フランチャイズ営業・・・・

④飲食店独立・経営・運営・再生・承継受託

④は飲食店舗一軒まるごとの経営や運営となりますので、独立開業と同じようにメンバーを揃えなくてはなりません。そのうえで経営・運営・再生、業態変更立て直しの業務受託となります

※業務委託(委任・請負)は最低賃金法の対象とはなりません。業務委任とは行為業務の遂行が目的ですので、委託先と雇用契約を結ばずに、対等な立場・関係で業務を引き受ける働き方となります。
当然、委託先からの指揮命令を受ける立場ではなく、シフトなどでの管理も行われません。ただし、受託者は委任契約に重要とされる「善管注意義務」を負うことになり、飲食業の専門家としての能力から考えての通常期待される業務要望に従い、善良な管理者の注意をもって業務の処理する義務を持ちます。

「一軒まるごと業務委託」の基本契約は、委託者と受託者の話し合いにより決定します。

一般的に業務委託契約は経営管理契約と経営委任契約の2種類があります

委託側
開店準備が整った店舗で休止状態の店舗、または営業中でありながらも赤字で再生を必要とする店舗やスタッフ不足で経営困難である店舗、承継を希望する店舗を提供します。
なお、新規開業準備~開店~経営・運営を含む委託の場合も可能となります。*店舗まるごと一軒の開店・経営・運営・再生・業態変更立て直しなどの委託とします。
受託側

運営・経営の知識・技術やノウハウ・スキルと必要人材数を含めて提供をします。
*企画書・事業運営計画書などのプレゼンと必要な内容を提示します。
運営委任・経営管理契約
 毎月、定額の受託料に設定します。また、売上、収益の数%の報酬を設定する場合があります。売上、利益の管理と経費など支払いのリスクは委託側に帰属しますので、受託側は安定度はありますが、報酬の変動は大きくなりません。なお、雇われ感はありますが、安心できる面がメリットとなります。
経営委任・経営委任契約
 経営は委託側の名義でしますが、売上、収益の管理と経費、人件費など支払いのリスクは受託側に帰属します。店舗と設備の投資がない、または少ないことがベースにあり、収益により報酬が大きく変動する遣り甲斐は大きくなります。そのため、固定費から運営費までを管理しますので、経営者感覚となります。委託側には利益からの数%、その他に営業権のような一定額の使用料を支払う方法などがあります。なお、テナントは転貸問題を意識しておくべきです。

業務受託(委任or請負)・フリーランス(事業主)のメリット

 受託者スキルがビジネスチャンス

 調理師、ソムリエ、コンサルタントなどの資格や飲食店の経営や運営の経験、才能、技能が最大限に発揮できます。企業に雇われるのではなく、飲食業分野の専門職として企業と対等の立場で業務の依頼を受けることができます。また、委託料や条件などについても委託先と交渉できる権利を併せ持ちます。

・委任契約は、一般的なキッチンやホールの現場はもちろん、料理長・シェフ・ソムリエ、店長・マネージャー・SV・コンサルタントなど責任者の重要なポストを任せられるケースが多くなります。

請負契約はメニューブックやフームぺージなどの制作、企画ものやフランチャイズ営業など契約通りに業務を完遂することが契約ですので、委託される仕事の内容によっては数ヶ所からの委託も可能であり、勤務地・勤務時間に関係なく自由にできる業務受託の方法とも言えます。

・飲食店の経営や運営・再生は居抜き以上にそのままの状態で設備や什器が揃っている店舗が多く、店舗の賃貸にかかわる膨大な資金も不要であり、営業許可等の許認可も取得済み店が多いため運営業務に専念できます。もちろん、
スポンサーによる新規飲食店の開店や増店などのオープンに携わることもできます。
また、店舗の譲渡や売却を受けられる可能性はあります。

 今までの飲食業界のノウハウをもとに責任者やコンサルタント業務、また飲食店舗の経営や運営、再生、開店業務などのビジネスを求める自営業者やフリーランスの方は大きなチャンスを獲得することができます。
業務委託の成功例がさらなる実力となり、引き合いも多くなることでビジネスチャンスを拡大するものとなります。

キーパーソンの新しい働き方

 業務委託は労働契約ではありませんので、委託先からの指示や業務の管理、勤務シフトでも管理されることはありません。要するに勤務者ではなく経営者と同じ意識を持ったうえで、今までの経験、知識、技術、才能を提供し、受託者の裁量のもとで店舗が繁栄するために尽力を注ぐことが受託の目的となります。

委託条件は交渉次第

 委託先店舗は業務向上や繁栄を意識し、スキルの高い指導者を求めています。求めるスキルは千差万別ですが、委託者と受託者のビジネス内容のマッチングが第一となります。次に契約内容のマッチングとなります。持ち得たスキルによって委託料や委託期間、その他の条件交渉をします。売り込み次第では委託料や委託期間、その他の条件交渉に期待が持てるばかりではなく、受託業務の評価次第では、新規オープンやオーナー援助など大きなチャンスも獲得できる可能性を秘めています。

自由を満喫

 フリーランスの多くは個人事業主や法人経営者ですので、業務受託の内容や期間も調整することができます。調整次第では勤務者ではあり得ない長期の休暇も可能であり、自らの店舗の経営と受託ビジネスもできる自由な立場です。
勤務者は仕事を変えることでイメージがダウンしますが、フリーランスは受託ビジネスを重ねることにより信用が備わります。

デメリット

 受託ごとに職場の緊張感があります。順調に次の委託先と契約できるとも限りませんので、常に心配は付いて回ります。フリーランスは事業主ですので健康保険加入や税務申告手続きは当たり前のことですが、雇用保険には加入できませんので失業給付はありません。ビジネスの計画を立てながら飲食業フリーランスを営むことになります。

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